記号でなくその世界の君へ

皆さん、こんにちは!ヲタクです。

先日「舞台 オーファンズ」を観劇してきました。

先日っていっても11月ですが…書くことがまとまらず、結局今もまとまってない!

でも、もう別にまとまってなくても書けるところだけ書こうかなと思いまして…、、

あの〜〜〜〜〜〜〜すいません。(笑)

今日長くなります(笑)

読むのだるくなると思います(笑)

というか、既に私が誤字チェックの段階でだるい(笑)途中でチェックやめました(笑)←おい!

めちゃくちゃ色々あった舞台でした。

会場はあの中野ザ・ポケット!約1年ぶりに中野に帰ることとなりました。まさかこんなに中野に帰ってくるのが早いとは…思いもしてませんでしたけど!

 


今回、毎日お世話になってる友人(LINEしすぎですね)と現場期間が被りまして…(そんなことある?)

私はオーファンズ、友人は5 Guys Shakespeare Act1:[HAMLET]を見るために遠征!後半戦からはホテルも同室にしてもらって過ごしてきました!

超楽しかった…!

入る現場は違うけど、友人との遠征は3月ぶりですかね…そう。パライソ組です。

本当に今年は色々ありました。本年は、この舞台オーファンズで現場〆です。

来年は連番がしたいですね。

夏にこの友人を炎ステ招待した時に、自分の推しメンが初主演の時は招待するね!と言ってくれてて、それが今年のうちに実現するなんて…凄いことですよね!初主演相互招待です。

なので、私もオーファンズの空きに5 Guys Shakespeare Act1:[HAMLET]見てきました。松崎史也演出、音楽Yu!これまた聞いたことある嬉しいタッグでした!やったぜ!(このお話はまた次に!)

 


期間が丁度11月の3連休と被さってきていて、巷では「我慢の3連休にしてほしい」と騒がれてましたが…

私たちはもう昨年末からずっと我慢してるわけで…とマジレスしながら、外食は控えて消毒グッズも万全に参戦してきました。(今のところ体調不良一切ありません!)

 


ところで、今回のオーファンズ…電子チケットでして…(頭痛)

公演当日の前々日〜前日夜くらいに席が開示されると言う(しかも各日前日に来たり前々日に来たり…)なんとも気を揉む仕様でした。

今回はコロナウイルス対策で席は半数の90席。ついこの前、特等席(炎ステ)で200争ったのに次は90か…という感じです。

友人からはシアドラで主演やった人ですよね…?と怪訝な目で見られました。(私は白目を剥いてました)

 


私は申し込みの段階から散々SKIYAKIの悪口を散々言いましたが(すいません)本当にアプリの使い方がよく分からなくて、色々調べたりして大変でした。

でも今回苦労した分、問題なく観劇できました。何事も勉強だなあ。

友人にも色々と相談と愚痴に乗ってもらい(笑)結局仕事で一旦帰った(!?)日以外は狙った日全て見れました。

今回は公演期間が短くて回数もそこそこだったから兎も角…通常の公演でこれをやられると大分胃が痛いですね…。

この知識、今後も活かしたいですが出来れば今後なければいいなとも思いました()

関係各所は、よく考えてこちらのシステムを利用されたほうがいいですよ!(届かない声)

そして、また上記に書いたように一旦仕事で帰りましたw

初日入って翌日マチネ入って中抜けして、仕事してまた帰ってきて、マチソワ2周まわして前楽と千秋楽、ですね…自分でもよくやるよ…と今回思いました。(本当にな!)

最初、初日の午前中に仕事入れようかと思ったんですが、これもまた友人にちゃんと休んだほうが良いよ…って諭されて休みました(笑)

…まあでも、また音曲祭で、それしそうですけど…←

 


前記事「人間の一瞬に触れ続ける」http://yoischka.hatenablog.com/entry/2020/03/14/224724

で書いたように、もう小劇場なんて早々巡ってこないから…と思ってたんですが、ご本人的に「年一で小劇場やらせてもらってるんですよね!」というテンションみたいなので(笑)

なんか今後も中野ザ・ポケットとは長い付き合いになりそうな気もします。(こういうとフラグが立って来年ないのか?)

まあなので(なので?)頑張ってチケット取って入っちゃいました!←

 


しかも今回も最前があったし、前から3列目とかもあって、勿論後ろから3列目とかもありました。

前で見たり後ろで見たりできて楽しかった!前から書いてますが、最前が正義というわけではないので…色んなところから観れるのがやっぱ現地の醍醐味だなあと改めて思いました。

ライビュとか配信だとどうしてもカメラに任せる形になりますから…見たいところが見えませんしね。

今回のオーファンズは脚本の権利都合で配信や円盤化は無理でしたし、出来る限り見れて満足してます。

ただ、コロナ対策仕様になってて臨時補助席が最強に視界遮ってくるところに設置されてて、私の座高じゃなければ死人が出てたな…とも思いましたね。

色々工夫してる小劇場。中野ザポケットとの思い出もまた増えたな…って感じです。

何はともあれ、今回も私の相談に乗ってくれた友人知人は、本当にありがとうございました!

 

 

 

で、オーファンズなんですが…(相変わらず前置き長いな)

 


オーファンズは翻訳劇で物語の時代背景自体はベトナム戦争前後?よくわかってません。(おい)

日本でも繰り返し舞台化されていて、今まで色んな人が演じてきた物語。

近年では羽風薫がやってたような気がします。(まーたこんなところで)

後、この前俳優を引退した柳下大かな…?(海堂繋がりで驚きました)

でも実は、私は名前は聞いたことあっても内容を全く知らず!今回初めてこの物語に触れました。

それがとても幸運だと今は感じてます。

 


この物語を形容するのは、文字にしてしまうと誰かを誤解させて傷つけたり、逆に言葉が丸まって伝わりにくいかなあ…と思うばかりです。今でもそう思ってます。

期間中、私は何度も友人に事の次第を打ち明けようとしては…自分の言葉の拙さに悩んで、伝えたい事はあるのに…その半分も上手く伝えられない気がして、結局は何も話せずにいました。

Twitterで「何か苦しんでるなと思ってましたよ」と言われましたが…うん、苦しみました。

なんか、初めてこんなに苦しんだかもなあ…と。

このブログでは上手く伝わらないことを前提になのですが、私の気持ちの動きを思い出しながら書いていきたいです。

 


まず、初見で公演を見て思ったのは、これは到底多ステなんて出来たもんじゃないぞ…という気持ちでした。(死)

悲しいとか辛いとか怒ってるとか、そういうのを通り越して、色んな感情に押し流されて、流されて流されて流されて…

わかりやすくいうと、久々にめっっっちゃ泣きました。

でも、それが悲しいとか怒ってるとかいう単純な話ではなく…どちらかと言うと無念というか、悔し涙に近い感じです。…う〜ん、でも、この表現が合ってるか今でも取り違えてないか、悩んでます。

今までの舞台観劇人生において、いわゆる舞台における演出と脚本には必ず相互同一の答えを理性的に目指していると思っていて。

脚本と演出が殆ど乖離せず感情の一元化が結構あるなと思うんです。

この時のこの役はこう思っている、こう考えている、それを理解しにくい時はモノローグを入れたり、心情をエコーでしゃべったりする。もっと言ってしまえば、顔はAだけど台詞はBだけど顔がAってことは、本当はAなんだろうな、みたいな感情の見せ方の単純化が進んでいる。

勿論、受け取った側に権利があるので答えは一つじゃない。そうなんです…答えは一つじゃない。

でも、今の舞台って答えがありがちだなと思うんです。原作があるのもその一つですけど、ある程度物フォーカスしたい部分、言いたい部分、見せたい部分があるものが多いと思っていたんです。

その方がドラマティックだし、ある時はお決まり展開こそ燃えるってこともありますし。

でも今回、沢山の意味で物語が受け取れるなと思っていて。

それは、その後の展開!とか、この人の気持ち!とかいうエピローグ的なものではなくて、大元。物語の根幹の受け取り方という意味でなんです。

……これ、書いててどういう事?ってなる人多いだろうな…。

オーファンズについてまた誰かに語りたいなとも思ってるので、辛抱強く私の拙い話を聞いてくれる人をここで募集させて欲しい。

とりあえず書いていきますね、上手くいくかな…。

でもまあ、本当に、後々理性的に見れる様になったんですが、初見段階では取れてるチケットちゃんと全部観れるか不安になる程、衝撃がありました。

今では本当に、全て見れて良かったと思ってますけどね。

 


入ってすぐ驚いたのは舞台セット。

towaco(ゲーム実況者)の動画で見たことある、バイオハザードの家(?)みたいでした。(何番のか忘れたけど)

ソファーは破け、カーペットは折れ曲り破れほつれてボロボロ。

窓ガラスは錆びているし、部屋の中は新聞紙や衣類や布切れやよく分からない麻紐が散乱。棚には大量の空き缶の山。

凄まじい荒んだ生活感がはりついてました。セットだけで、これはけして裕福な環境下の物語ではないと察してしまいました。

 


そして、開演5分前に会場の非常灯が消えると同時に、客電も落ちてないのにフィリップ(牧島さん)は舞台セットのクローゼットの中からノソノソと虚な目で出てきて板に立つんです。

テレビをぼうっと見ている。

手を擦ったり、目をキョロキョロさせたり、小さくしゃがんで、でも決して機敏ではなくて、動きが間延びして緩慢って訳ではないけど定まらない。

フラフラしたり、たまにTVをみて1人でクツクツ笑ったりしてて…なるほどって思いました。お客さんに役柄を掴ませるのが早くて、本当に凄い。

客電が落ちる前から板上にキャストがアクトして始まる舞台を久々に見ました。

最近は、客電が落ちてせーので始まる演劇が多いですもんね。

劇場内喋ってる人は少なかったけど、関係者席に座ってた人達はずっと喋ってて…この情勢わかってんのか?って思ってたんですけど(ヤンキーすいません)

牧島さんが出てきてアクトし出したら喋るのを徐々にやめたんで(すぐ辞めろよ)(後1秒でも遅かった肩叩いてました)

そういう狙いもあったのかもな…演者の演技に黙らない人類なんて、その板にいる人間以外あってはならないんだから。

外野は黙ってよね!

 

 

 

ならず者の兄貴のトリートと天真爛漫な弟のフィリップ、兄貴が誘拐してきたハロルドという男の3人舞台。

アメリカ・フィラデルフィアにある老朽化した長屋で、誰も知らない、閉ざされた世界に暮らす兄弟に、二人に富と理性、教養、生きる道を教えていくハロルド。

家から外の世界に出た事がない弟・フィリップは自分が住む世界を知り、兄・トリートは人との繋がりを感じるようになる。

大きな孤独と小さな温もりを分かち合う「三人」の孤児たち…

観劇前にあらすじを読んだ時は、シンデレラストーリーなのかな?と思っていました。

得ていく物語なのかな、と。

兄弟たちが男との出逢いによって、生活も心も豊かにしていく物語なのかな、と。

でも、結論から言うと、そうはならなかった…そう言う意味では、このシンデレラストーリーはバッドエンドとなりました。

 


家から出れず、文字を学ぶ事も許されず、誰かと関わる事もできず…毎日を孤独に生きてるフィリップ。

そんなフィリップに教養、富、理性、世界と自由を語ってくれるハロルドを見るごとに、なんというか…心が満たされる思いでした。

やっぱり、フィリップに感情移入してしまいがち。

ハロルドはフィリップに「お前は励ましを求めている、わかるんだ」「励ましてやろう」と肩を抱くんです。…嬉しかった〜!心がギュッとなりました。

完全にフィリップの目線でハロルドを見ていたから、私だって励まして欲しい!って思ってしまうくらい。

真っ直ぐな心のフィリップの事を、お前は素晴らしい奴だよ!って言ってくれる。

フィリップの感性を非難する声に、そんな言葉に耳をかしちゃいけない、自分の感性を信じるんだ!って言ってくれる。

冒頭で虚な目だったフィリップが、所作に密度のないツギハギだったフィリップが、みるみる内に生き生きとしてくる。

すごくすごく嬉しかったな…。

私は完全に推しメンのフィリップくんが愛しくて仕方なかったです。素直で優しくて『天真爛漫』で…ハロルドがくれる初めてに、キラキラしてて。

ハロルドの話を一身に受けて、一つ一つ手に入れていく。はじめてのローファーにワクワクした顔や、上手く履けなくても「僕の知らないことがまだあるんだな!」ってチャレンジしていく姿に、頑張れって心の全部でエールを送っていました。

「わかるよ!僕、もうわかる!」ってハロルドに抱きついた時、やった〜!!!!って私も凄く嬉しくなったし、フィリップくんが笑顔なだけで幸せでした。

一方、兄貴のトリートは、フィリップが自分の外出中に文字の勉強をしてるのではないか、更には誰か他人を家に入れたのではないかと詰め寄り、怒鳴って暴力を振るいます。

文字を勉強することの…何が悪いの…?って、私はそこから不信感を強く持ってました。

だから、そんな兄貴の束縛や暴力から飛び出して、ハロルドの後押しで自由になれるフィリップくんが見れるのでは…と期待してました。

勿論、兄貴のトリートも完全悪じゃないのは十分にわかってたので、トリートもハロルドの手をとって、成長して、いろんな誤解を解いて、最終的には笑顔でこの幕は閉じるのでは、と、思っていました。

 


…でも、そうは、ならなかったんですけどね。

 


ネタバレがアレな人はこんなブログ読んでないので書きますが、ハロルドは悪い仕事をしてて組織から追われていて始末されるし、兄貴のトリートはハロルドが死んでから、やっと心を吐露するし、フィリップは自立を決めたのにハロルドの死に幼児のように兄貴が泣いている姿を見放すこともできず、兄貴を抱きしめながら暗闇を見据えて……この舞台は終わります。

なんなんだこれは。誰も救われない。

誰だ笑顔で終われるんじゃないか〜とか甘っちょろいこと言ったのは…。救われないどころか、悪転したのです。上げて落としてきた。

 


…………私は、上記でも書いたようにフィリップくんが本当に好きで。彼は凄いんですよ。

テレビで流れる通販番組で出てくる商品名や景品名を暗記してるんです。

○○産の○○製の○○と、○○の○○グラムを○○セット…もう、その数秒の早口何度聞いても覚えられないくらいの量の早口。

一語一句間違わず、噛まず、早口でズラズラズラと捲し立てるんです。聞いててギョッとしました。(まあ元々牧島さんが噛んだところ見たことないですが…)

それにフィリップくんは、家のどこからか本を探してきて、本と朝早くに届く新聞の内容を線を引きながら照らし合わせて、文字が読めるように自分で勉強するんです。(この行為は板の上において一度たりとも描写されません)…ただ、その新聞紙はトリートが読むものなのでフィリップが手を加えたことが直ぐに露見します。

フィリップは家の中から赤いハイヒールを見つけてきて、それが母のものではないかと宝物にしてるんです。トリートに見つかってしまうと捨てられてしまうので、棚の中に隠すんです。…ただ、その棚はトリートが直ぐ開けてしまうので、それもすぐ露見します。

それを「知らない」「わからない」「僕じゃない」で全部回避しようとするフィリップくんの『天真爛漫』さも本当に本当に愛しいです。

 


…………………。

 


勿論、私もフィリップくんに、どこか違和感を感じてました。

でも、「家から出たことがない」というキーワードが目眩しになってしまって、本質が見えてないことに後々気づきます。

普段アニメーションを嗜んでたりもするし、ゲームをみて特異的なキャラクターを見てもきたので、この違和感に直ぐに取っ掛かることが出来ませんでした。

これはファンタジーじゃない。

まず最初にひっかかった台詞は、「髭剃り?僕はトリートのを使ってる」です。

自分でサンドウィッチを作れる、服を自分で着れる、窓を行き交う人の性別の区別がつく、スカートを履いている、ジーンズを履いている、ズボンの女の子が可愛いと自分で認知できる。でも、髭剃りを1人で行える…は、話が違ってきます。

髭剃りをする年齢って…フィリップって一体何歳なんだろう。完全に挙動は小学生、いや、ちゃんと現代に置き直すともっと幼い言動かも。……家から出れなかった、勉強を許してもらえなかった…だけで、トリートとは日常会話を行えてコミニケーションは取れる。完全にコミュニティー途絶えていた環境わけではない場合、兄貴と二人暮らしなだけで、この挙動になるんだろうか?

 


………公演を2度、3度と見るごとに更に疑問がわいてきました。…なんでトリートはフィリップに盗みの手伝いをさせなかったんだろう?

 


2人の生活はトリートの盗みで生計を立てています。

「俺が盗みをしてたのはお前を食わせていくためだよ!」確かにそうだ。

…じゃあなぜ、生計を立てる為にフィリップを外に出して手伝わせなかったんだろう?

トリートなら、フィリップも外に出れば人手は単純に2倍。盗みの教育を行って、倍額稼げるとは思わなかったのだろうか。

弟に犯罪を犯させたくなかった?…本を読むことさえ許さないのに?

物語の中で、フィリップが外に出ては行けない理由は、フィリップが草や木や花粉のアレルギーがあるからと言うことになっています。厳密に何のアレルギーかは明かされません。草や木や花粉のアレルギーです。

舌が膨れ上がって、顔も腫れて、窒息寸前。トリートはそういうし、フィリップもそう言う。だから、トリートがフィリップを監禁している訳ではないんです。フィリップもそう理解しているから外に出ない。

 


…………でも、これって本当なんでしょうか。

 


窒息寸前のアレルギー症状…。

じゃあ…そうなった時。それが発覚した時。どう治療したんでしょう…。

薬を買うお金がどこにあったんだろう…そもそもアメリカって日本みたいに保険がないから薬は高額です。

窒息寸前のアレルギー反応ならば、時間が解決するのを待ってたらフィリップは窒息して死んでしまいます。

両親がまだいた頃にそうなった…?父親が出て行った時系列はともかく、母親が死んだのはトリートが子供の頃でフィリップが赤ん坊の頃だったと、トリートは言います。その時まだ裕福だったから(長屋に住んでるのに…?)処方された薬を服用した…?その光景をトリートは見てたのでしょうか。確かに、その可能性もある。

トリートはフィリップが自立に繋がりそうな行動をとればアレルギーを引き合いに出します。

「あいつ(ハロルド)は、お前が他の奴らと同じように何だってできるって騙そうとしている!」トリートはそう言います。

そして、物語の後半戦、フィリップは窓を開けて外の空気を吸っても、アレルギー反応は起こらなかったんです。

ハロルドには、「凄いぞフィリップ!素晴らしい進歩だ!」と存分に褒められます。私もとっても嬉しかった!

トリートはそれを「俺が見ていてやったからだ」と言います。確かにそうなのかもしれない。

…でも、こうも思うのです。

窒息寸前のアレルギー症状が、薬の処方もなく、家にいるだけの免疫力だけで改善するものなんでしょうか。

 


じゃあ、もしも。

フィリップにアレルギー反応なんかないけど、トリートはフィリップを外に出さない理由としてアレルギーを建前にしていたとしたら。

 


…何でそんなに、外に出したくなかったんだろう?

 


そして、ここでもう1つ疑問に思っていた描写がありました。新聞紙に線が引いてある事をトリートが見つけた時の話です。

トリートはフィリップが文字を勉強しているのではないかと怒るんです。

ここが本当に私にとっては最初訳がわからず、トリートが文字を読めないからフィリップに嫉妬してるのか?と思ったら物語展開的にそうでもない(ハロルドの仕事を難なく手伝うからです)

新聞の件が発覚した時、フィリップは「僕じゃない!」「知らない!」「わからない!」と回避しようとします。

確かにフィリップが本を読んでるシーンも、新聞に線を引くシーンも舞台では描かれません。ただ、それらの物品をトリートに見つからないように懸命に隠す描写はある。

そして、隠して後々発見される本の中に「アラビアンナイト」があります。

物語後半、フィリップの台詞で「改札の扉はアブラカタブラ!とか、開けゴマ!何かじゃ開かない!」と言ってるので、間違いなくアラビアンナイトを読めている、文字を勉強していると私は思います。

 


ごめんなさい、ちょっと話がそれましたが…。

 


なので、そもそも何で文字を勉強する事をトリートは怒ったのか…?そこなんです。別に読めたってよくない…?

でも、もっと言うなら問題はその後。

線を引いたのを「僕じゃない!」とフィリップが回避した時に、トリートは「じゃあ誰が線を引いたんだ、俺たちの他に誰か家に入ってきたのか」「わからない、そうかも!」「そんな奴がいるなら探して殺せ!」…こうなる訳です。

そんな人間、家の中にいる訳ない(いや、100%いない事もないとは思うんですが)その人間を探して、フィリップは大立ち回りする訳です。

ソファーの下、机の下、戸棚の中、トリートに渡されたナイフを振り回しながら。

初見、フィリップはこの現状を何とか上手く誤魔化そうと、家にいる侵入者を探す「フリ」をしているんじゃないかと思っていました。

というのも、2階へ行って犯人を見たと言い、ナイフで戦ったら犯人が窓から外へ逃げて行って、自分はその際に怪我をしたと1階に降りてきて、フィリップはトリートにその傷を見せるからです。(擦り傷でしたが)

本当にそんな第3者がいたら、そう簡単に済む訳もないし…きっとフィリップが適当に腕を擦りむいてトリートを誤魔化したんだ……と、ここまで思考して、ここでもやっぱり違和感がある。

 


確かにフィリップは誤魔化そうとしたわけだけど、だからと言って、その程度でトリートを騙せる訳がない。

そんな、2階にいてフィリップがナイフを振り回して追い払った、なんて、都合が良すぎます。嘘って直ぐわかる。

それに、大立ち回りの小芝居をフィリップがし出したあたりで、急激にトリートから新聞紙に線が引いてある云々への興味が失せていくのがわかるんです。

 


2階でフィリップが大立ち回りをしている間に1階でトリートはタバコをふかしているんですよね、早く終わらないのかな、と言わんばかりに。

本当に新聞に線を引いた犯人をつきとめたいならもっと言及するはず。

でも、そうやって適当に誤魔化した後トリートはあっさり話を変えてフィリップの傷の手当てをしようとするのです。

…トリートは分かっているんですよね…フィリップが新聞に線を引いて文字を勉強していて、適当に大立ち回りして誤魔化しているのを。

こうなってくると、考えられるのは何個かに絞られます。

 


1つは、「いつも」こうなって、「知らない」「わからない」で回避されて堂々巡りで決着がつかないから諦めてる

2つは、犯人に第三者がいるという程で大立ち回りさせてフィリップとの根本的な衝突を避けたかった

 


他にも可能性があるけど、大きくこれかなと思いました。

2は後半でフィリップがトリートに「トリートは何も教えてくれなかった!」と言い、トリートが「バラバラになりたくなかったんだよ」と吐露したシーンに繋がるな…とも思ってます。

この、バラバラになりたくなかった、という吐露は…この物語のトリートの行動原理なのかなと私は思っていますね…。

 


1は、フィリップはそういう『天真爛漫』の『癖』を持っていたんではないか?という事も思っています。その癖から、自分みたいに強かで器用で人の感情を読んで詳細に動く事は難しく、ひいては人を信じやすい。

だから、トリートもフィリップに盗みを手伝わせなかった。フィリップを傷つけたくもないし、危険なこともさせたくない…。

「フィリップ、お前を守ってやる。俺はお前の兄貴なんだ」だったんだな…と。

 


…母親は本当に「死んだ」のか…?ということも気になっています。

とても不謹慎な話、どんな風に亡くなったんでしょう。これは物語で語られません。

事故?事件?病気?そもそも、アメリカでだって長屋で住んでる家族の内の人が1人死亡すると勿論…葬儀があるわけですが…「ガキの頃」のトリートにそれを切り盛りすることが出来たんでしょうか。それともその時はまだ父親はいたのでしょうか。

更に、物語の後半戦。

これは私の感覚ですが…「おいていくなよ!」と母のコートを抱きしめながらハロルドに叫ぶトリートの姿を見ながら、……これは、と。初日明けの翌日マチネを見ながら変な手汗をかいた覚えがあります。

母親こそ出て行ったんじゃないのか………?

じゃないと、トリートが母親の遺品をあっても意味がないから捨てようなんて言わないのでは?

 


ダメですね、やはり、まとまりきりません。

 


上記であげたように、この舞台、根本が語られていない事もあって、初見で見てストーリー展開を理解した時と、改めてもう一度登場人物の台詞や表現が判断材料にして辿っていくと、台詞と演出を照らし合わせると、台詞の中の矛盾が浮き出てくるんですよね…。

その矛盾と演出を再度仮説をもとに繋ぎ直すと、違う全貌が見えてきました。

 


いや…正直、こんな舞台初めてで(笑)

推理モノかと思いました(笑)

多分、私がたてた仮説とはまた違う見解を持ってる人もいると思う。

 


演出で兄弟が家の中で鬼ごっこをするシーンがあるんですが(あの狭い中野ポケットで…)

いつもフィリップがトリートに騙されて「今日は(鬼ごっこ)しないよ」と言われて、のこのこ近くで話をしちゃって、タッチされて反撃の余地なくゲームオーバー!と言われて負けてしまいます。

でも後半、フィリップがトリートへの不満をぶつけた後にフィリップがトリートにタッチして、ゲームオーバーって言うシーンがあって…

フィリップが冒頭隠れていたのは、タッチされない為で、隠れてる間にトリートはどこか外へ行っちゃうからなのかな…とかも思いました。

 


本当に、現象が1つで何となくそうあるからではなく、理由が内包されている可能性があるのが、凄いと思います。

 


後、これは余談なんですが…オーファンズは他の人達、日本でも様々な役者が演じていますが、フィリップが主人公なのは、この今回のオーファンズのみです。

いつもはトリートが主人公として描かれている舞台で…そう考えると、だいぶ話の内容が変わるなと思いました。

 


「ならず者の兄貴のトリートと天真爛漫な弟のフィリップ、兄貴が誘拐してきたハロルドという男の3人舞台」

正直、この紹介文だと全然本質と異なるし、それだけじゃ解決しない、人生みたいな…大きさと言うか。

そんなゲームキャラクターみたいに単一な煽り文にこの人生おさまらないよ!って感じでした。

トリートはならず者なだけなのか?

フィリップは天真爛漫なだけなのか?

ハロルドは兄弟を教養を説いただけなのか?

全然そうじゃなかったです。

今回以外の、どのオーファンズの感想を見ても、フィリップに『癖』があるような感想を書いているブログがなくて、そこを表現した牧島さんはやはり凄いなと思いました…。

完全にオリジナルで唯一です。

 


冒頭でも書いたんですが、この舞台はモノローグを付けるわけでも、感情をエコーで喋るわけでもない、ただその板の上にフィアデルフィアの長屋があったな…と思うんです。

でもそれって凄いことで、演者のレベルも高くないとできないことだと思います。

難しい演劇だったと思う。

完全なるオリジナル、というか…。その世界がそこにあったな、と思いました。

凄くチープな言語感想で辛いんですけど、うまく言葉にできません。

まだ言いたいことあるんですが、そろそろ文字数が万こしそうです。(こしてます)

 

 

 

本当に特別で大切なオーファンズ。

千秋楽、思わずスタンディングしてしまってアワアワしたんだけど、3人が「!」ってビックリしてて、笑顔になったのがすごく嬉しかった。

トリートにはフィリップに肘で小突いてたし、ハロルドは見回しながら嬉しそうだった。フィリップは、はにかんでた。

カーテンコールだからご本人たちだけど、まだフィリップの魔法にかかってる私は3人の笑顔が見れた気がして、

あーーーーーーこれだ!

もう初日から、

この3人の笑顔が見たかったんだ、

ずっとずっといつまでも って、

思いました。

 

 

 

「あの街灯のひとつひとつに、小さな太陽が入ってる!」

 

 

 

 


全然まとまってませんが、ひとまず此処まで!気が向いたら加筆します(笑)

 


まだまだ疫病で苦しんでるご時世ですが、後1週間…(マジか)で音曲祭です。

初日から行ってきます!

その後は朗読があって、オンラインイベントがあって、メジャーソングのリリースもありますね、イベントてんこもりだ!

各々の感想もまたこちらで書きます!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記号でなくその世界の君へ、の話でした。